Research
当研究室のコンセプトは「電気電子工学と情報科学の融合」つまり「電気電子×AI」です。
現在,世の中では環境破壊の懸念から「脱炭素化(カーボンニュートラル)」の動きが加速しています。内燃機関をもつ自動車をはじめとした機器の電動化に関しても,新聞で見ない日はないでしょう。電動化に関連し,エネルギーを消費する電気機器の高効率化や軽量化が求められてきています。また,風力発電や太陽光発電などの「クリーンエネルギー」が火力発電に代わる発電方式として注目されています。昨今の世界情勢からも電気エネルギーに関する議論は今後も重要なトピックとなり続ける予想されます。

法政大学科学技術フォーラム 2022年11月3日
これらの背景から,当研究室ではエネルギーと深く関係のある電磁気現象と人工知能(AI)に関する以下の研究を行っています。
電気機器の自動設計
当研究室では,電気機器の設計をシミュレーションベースの最適化技術やAIにより高効率化し,新規的なインパクトのある製品を生み出すことを目的に研究をしております。
回転機形状のトポロジー最適化
機器自体の効率化や高性能化の裏では,人による試行錯誤が繰り返されており,最良な製品を設計することは多大な労力を伴います。人力では生み出せない斬新な形状を生み出す可能性を秘めた技術として,シミュレーションを駆使したトポロジー最適化が注目されています。
本研究室では,電気自動車の動力源となる究極のモータを生み出す進化計算をベースとしたトポロジー最適化技術に関する研究を行っています。

AI・機械学習を用いた電気機器設計手法
設計の際には,電磁界解析手法(有限要素法等)を用いてシミュレーションをすることが一般的です。しかしながら,問題によっては解析に多大な時間を要する場合があり,設計工程における大きな時間損失となっています。そこで,機械学習により簡易的なモデルを構築し,高速に磁気的特性を推定することを目指した研究を行っております。

さらには,近年注目されている「推定結果に関して説明可能な機械学習」を用いて,設計者に対して自動で設計の根拠を説明してくれるシステムの確立を目指しています。本システムにより,熟練者ではない設計者でも質を落とすことなく,電気機器の設計を行うことができます。

【解説記事】
永久磁石の磁化逆推定
AI・機械学習を用いた磁化逆推定手法
電気自動車などに搭載されている電気機器には永久磁石が装荷されていることが多く,永久磁石の性能はモータの特性に直結しています。その内部の磁化の様子を知ることは非常に重要になります。そこで,機械学習を用いて高速に内部の状態を推定する技術の確立に取り組んでいます。